『もっと知りたい 歌川国芳 生涯と作品』。
江戸時代末期の浮世絵師、歌川国芳。彼の生い立ちから苦労時代、絵師としての絶頂期、円熟した晩年までと、時系列順に彼の作品を見ることができる一冊です。
例えば、「通俗水滸伝豪傑百八人乃一個 九紋龍史進 跳澗虎陳達」。当時流行していた中国の読物、水滸伝に登場する人物をモティーフにした一枚。単色の筋彫りが一般的だった彫り物文化に、色鮮やかな錦彫りという革命をもたらしました。
例えば、「猫の当て字 うなぎ」。たくさんの猫たちが集い、うなぎの文字を形どった一枚。猫と駄洒落が何よりも好きな彼が、嵌め絵と呼ばれる浮世絵のジャンルを確固たるものにしました。
そして、「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」。三枚綴りの浮世絵を、大パノラマに見立てたもの。魚の鱗の細かさと、波の立体感が秀逸で、仙台市博物館で、偶然、実物と出会い、思わずうなってしましました。
江戸のアヴァンギャルド、歌川国芳。描画力という、確かな下地があったからこそ、直球勝負の豪快な絵も、変化球に富んだ遊び心溢れる絵も描けたのではないでしょうか。多くの弟子を抱えたベランメェだったというから、なおさら魅力的です。
通俗水滸伝豪傑百八人乃一個 九紋龍史進 跳澗虎陳達
http://www.edoshobosaisuikai.jp/tks001/suikoden_04.html
猫の当て字 うなぎ
http://www.nihombashi.co.jp/menu/heya/gallery/hyosi_sp/95_4.html
讃岐院眷属をして為朝をすくふ図
http://ezoshi.com/kuniyoshi/gallery.html
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