『ONE HUNDRED ASPECTS OF THE MOON』。
江戸時代末から明治にかけて活躍した浮世絵師、月岡芳年。もともとは師匠である歌川国芳譲りの、豪快できらびやかな画風でしたが、のちに一転。素朴な色使いに工夫された構図が光る、より、味わい深いものに。
古来から伝わる妖怪を描いた新形三十六怪撰や、勇猛果敢な武将たちを収めた大日本名将鑑などなど。彼の晩年の作品は、昭和生まれのわたくし詫び助の目を通しても、違和感無いのが不思議なところ。浮世絵と呼ぶより、イラストに近いからかもしれません。
そして月百姿(つきひゃくし)。武者絵から美人画、動物画まで、モティーフは様々ですが、共通するのが月の存在。風景のひとつとして描かれているのはもちろん、兜の前立てや幽霊など、月は姿かたちを変えて登場します。
この本は、月百姿の100枚すべてを収録。派手さは無いけど、儚げで、美しい月の数々には思わずため息。月百姿に魅せられるのは、月岡芳年の技能だけでなく、月の持つ神秘性に関係があるのでしょうか。
今年の中秋の名月は10月3日。とその前に、この本で少々早い月見をするとします。
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